皆さん、ミーでございます。
自作サインツールの作り方をサンプルプログラムを含めて配信しておりますが、今回は、MFIを使用したサインツールを皆様と一緒に作成してみようと思います。
サインツールの作成が初めてという方は、以下の記事を読んでから見ていただけると更に分かり易いです。
目次
MFIとは
MFI(Money Flow Index=マネーフローインデックス)とは、売られ過ぎ・買われ過ぎを判断する際に有効な、オシレーター系兼ボリューム系のインジケーターです。
MFIの見た目はRSIによく似ており、数値は0から100%で推移します。
RSIと比較されることが良くありますので、違いを簡単に説明します。
RSI 一定期間の値動きで決定される
MFI 一定期間の値動きと出来高で決定される
つまり、RSIとMFIの違いは出来高が計算式に加味されているか否かということです。
出来高についてよく分からない人のために簡単に説明すると、ある一定の期間中に取引が成立した売買の量です。難しく考えず、各通貨の取引量と考えていてもあまり問題はありません。
このようにMFIは計算式に出来高を考慮していることにより、RSIよりも信頼性が高いと考える人も多くいます。
MFIは値動きに対して反応が若干遅いのですが、その分、ダマシも少ない、実は高勝率のサインツールに組み込むには最適です。
MFIをサインツールに組み込む方法
MFIをサインツールに組み込む方法ですが、【iMFI】という関数を使用します。
【iMFI】の関数をMQLのソースプログラムから呼び出すことで、MFIの値を取得することができます。
iMFIの使い方
// iMFIの関数定義 double iMFI( string symbol, // 通貨ペア int timeframe, // 時間軸 int period, // 平均期間 int shift // シフト );
使い方は、以下のような感じです。
double iResultMFI = iMFI(NULL,0,14,0);
iResultMFI には、通貨ペア、時間軸は現在表示されているものを対象に、平均期間は一般的な「14」の設定で、最新のローソク足の情報が設定されます。
iMFIのパラメーターである「period」は、赤枠の期間を指定。「applied_price」は赤枠の適用価格の種類を指定するものです。
MFIを使用したサインツール
早速、MFIを使用したサインツール(サンプル)のご紹介をします。
今回作成するのは、
1.単純なMFIの上限/下限でサイン表示するもの
2.最新+1つ前のローソク足でサイン表示するもの
の2つになります。
単純なMFIの上限/下限でサイン表示するもの
まずは、実際に動作するサンプルコードを記載しますので、XXX.mq4(XXXの名前は何でも良い)を作成し、コンパイルの実行をお願いします。
手順が分からない方は、
https://rpa-affiliate.com/2021/09/24/self-made-signtool-base/
の記事を参照してください。
#property indicator_chart_window #property indicator_buffers 2 extern int MFI_Period= 14; extern double MFI_High = 80.0; extern double MFI_Low = 20.0; double DrawReverseLowBuffer[]; double DrawReverseHighBuffer[]; int init() { SetIndexStyle(0,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrMagenta); SetIndexStyle(1,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrRed); SetIndexArrow(0,234); SetIndexArrow(1,233); SetIndexBuffer(0,DrawReverseLowBuffer); SetIndexBuffer(1,DrawReverseHighBuffer); return(INIT_SUCCEEDED); } int start() { int counted_bars=IndicatorCounted(); int limit = Bars - counted_bars; double iResultMFI; for (int i=limit-1;i>=0;i--){ if(i == 0){ DrawReverseLowBuffer[i] = EMPTY_VALUE; DrawReverseHighBuffer[i] = EMPTY_VALUE; } iResultMFI = iMFI(NULL,0,MFI_Period,i); if(iResultMFI >= MFI_High){ DrawReverseLowBuffer[i]=High[i]; } else if(iResultMFI <= MFI_Low){ DrawReverseHighBuffer[i]=Low[i]; } } return(0); }
実行結果のイメージ
比較的サイン数は多いですが、騙しも多いことが分かりますよね!
サンプルコードの解説
それでは、サンプルコードで重要な部分の解説をしていきますね。
#property indicator_chart_window #property indicator_buffers 2 extern int MFI_Period= 14; extern double MFI_High = 80.0; extern double MFI_Low = 20.0;
#property indicator_chart_window は、チャートウィンドウにサインを出すことを明示します。
#property indicator_buffers 2 は、使用するインジケーターの数で、HighのサインとLowのサインの2つであることを意味します。
”MFI_Period”は期間、MFI_HighはHighエントリーの値(80を超えたら)、MFI_LowはLowエントリーの値(20を下回ったら)を定義しています。
このMFI_High、MFI_Lowの値を変更することにより、サイン数やサインの勝率が変わります。
また、先頭に”extern”が記載されておりますが、これを付けると、以下の画像のように、ユーザーがMT4から値を変えられるようになります。ユーザーの利便性が向上しますので、適切に使い分けを行いたいですよね。逆に、ユーザーに変更して欲しくない値には、”extern”は使用しません。
int init() { SetIndexStyle(0,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrMagenta); SetIndexStyle(1,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrRed); SetIndexArrow(0,234); SetIndexArrow(1,233); SetIndexBuffer(0,DrawReverseLowBuffer); SetIndexBuffer(1,DrawReverseHighBuffer); return(INIT_SUCCEEDED); }
上記は、MT4起動時や呼ばれる特殊な関数(init)です。その関数の中に、サイン表示に必要なサインの太さ、アイコンの種類、そして、表示するサインの配列を設定します。これは、こういうものだと覚えておく程度で構いません。
for (int i=limit-1;i>=0;i--){ if(i == 0){ DrawReverseLowBuffer[i] = EMPTY_VALUE; DrawReverseHighBuffer[i] = EMPTY_VALUE; } iResultMFI = iMFI(NULL,0,MFI_Period,PRICE_CLOSE,i); if(iResultMFI >= MFI_High){ DrawReverseLowBuffer[i]=High[i]; } else if(iResultMFI <= MFI_Low){ DrawReverseHighBuffer[i]=Low[i]; } }
for文の中がロジックの処理となります。
ループ変数(i)の値が、limit-1から、0の間ループすることになり、初回は全てのローソク足、2回目以降は最新のローソク足が再計算されます。
次に、サイン表示配列に”EMPTY_VALUE”(空の値)を設定していますが、最新のローソク足はMFIの値が変動する可能性がありますので、一旦サイン表示なしに設定しています。
その後、MFIの値が-20以上(MFI_Highで指定した値)、-80以下(MFI_Lowで指定した値)になった場合に、HighまたはLowのサインを表示する処理となります。
最新+1つ前のローソク足でサイン表示するもの
次に、”最新+1つ前のローソク足でサイン表示するもの”について、サンプルコードを記載します。
なぜ、1つ前のローソク足を見るサインツールのサンプルをご紹介するか?ですが、より勝率が高いサインを出すためです。条件を複数指定することで、より勝率が期待できるエントリーポイントでサインを出すことが出来ます。
きっと、この記事を見られている皆様は、勝率が高いところでサインを出したい!って思われてますよね(笑)
#property indicator_chart_window extern int MFI_Period = 9; extern double MFI_High = 80.0; extern double MFI_High_prev= 75.0; extern double MFI_Low = 20.0; extern double MFI_Low_prev= 25.0; double DrawReverseLowBuffer[]; double DrawReverseHighBuffer[]; int init() { SetIndexStyle(0,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrMagenta); SetIndexStyle(1,DRAW_ARROW,STYLE_SOLID,1,clrRed); SetIndexArrow(0,234); SetIndexArrow(1,233); SetIndexBuffer(0,DrawReverseLowBuffer); SetIndexBuffer(1,DrawReverseHighBuffer); return(INIT_SUCCEEDED); } int start() { int counted_bars=IndicatorCounted(); int limit = Bars - counted_bars; double iResultMFI,iResultMFI_prev; for (int i=limit-1;i>=0;i--){ if(i == 0){ DrawReverseLowBuffer[i] = EMPTY_VALUE; DrawReverseHighBuffer[i] = EMPTY_VALUE; } iResultMFI = iMFI(NULL,0,MFI_Period,i); iResultMFI_prev = iMFI(NULL,0,MFI_Period,i+1); if(iResultMFI_prev < MFI_High_prev && iResultMFI >= MFI_High){ DrawReverseLowBuffer[i]=High[i]; } else if(iResultMFI_prev > MFI_Low_prev && iResultMFI <= MFI_Low){ DrawReverseHighBuffer[i]=Low[i]; } } return(0); }
実行結果のイメージ
条件が増えましたので、サイン数は減りましたが、勝率は高くなってますよね。こうして、サインツールと呼ばれるものは、条件を組み合わせることで、サインを出しています。言い換えれば、この条件が【企業秘密】ってことですよね。
サンプルコードの解説
それでは、サンプルコードで重要な部分の解説をしていきますね。
”単純なMFIの上限/下限でサイン表示するもの”のサインツールと重複する部分が多々ありますので、異なる部分のみ解説します。
extern double MFI_High = 80.0; extern double MFI_High_prev= 75.0; extern double MFI_Low = 20.0; extern double MFI_Low_prev= 25.0;
条件の変数が2つ増えています。これは判断する条件として1つ前のローソク足のMFIが加わったためです。
iResultMFI = iMFI(NULL,0,MFI_Period,i); iResultMFI_prev = iMFI(NULL,0,MFI_Period,i+1); if(iResultMFI_prev < MFI_High_prev && iResultMFI >= MFI_High){ DrawReverseLowBuffer[i]=High[i]; } else if(iResultMFI_prev > MFI_Low_prev && iResultMFI <= MFI_Low){ DrawReverseHighBuffer[i]=Low[i]; }
そして、判定ロジックの部分が変わっております。
一つ前のローソク足のMFIが、MFI_High_prevの値より小さいことに加え、最新のローソク足のMFIが、MFI_Highの値より大きい場合に、Lowエントリーのサイン。
一つ前のローソク足のMFIが、MFI_Low_prevの値より大きいことに加え、最新のローソク足のMFIが、MFI_Lowの値より小さい場合に、Highエントリーのサイン。
を出すサインツールとなります。
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